離別

今から、お話しすることは、僕の人生の間違いなく最大のターニングポイントです。
一生忘れることのない、長い一日のお話です。

その日は、とても晴れた良い天気のGWでした。
社会人になって初めて実家に戻った僕は、何十年も過ごした自分の部屋が心地よく、
家族のありがたみを感じていました。目が覚めると、もうお昼過ぎになっていました。

部屋の扉を開けると、母親があわただしく支度をしていました。

今まで大事に取っておいた、新品のドレスを身にまとい、お気に入りのバックを取り出して、おめかしして、出かけると言い出しました。

今日はそんな特別な日なんかじゃない・・・。
その異様な光景に、僕は「今日は出かけるのはやめよう」と説得しましたが、頑なに出かけると言ってききません。それでは僕も一緒に行くと言うと、一人になりたいと言って断ります。

そんな押し問答を1時間くらい繰り返した後に、絶対に帰ってくると約束して、母は出ていきました。

僕は玄関で母を見送り、角を曲がって姿が見えなくなるまでずっと背中を見つめていました。

 

今まで感じたことない、不安がよぎりました。

 

そして、それが母の生きている姿を見た最後となりました。