面接で言われた嬉しい言葉

今日は、あるIT企業の一次面接がありました。

その企業には筆記試験のときに履歴書を提出しなければならなかったので、そこで「男として働きたい」ということを書いておきました。

その企業の雰囲気を説明会のときに感じて、ここの企業は僕みたいのはダメだろうな……って勝手に思っていたので面接の連絡自体が驚きでした。

まぁ、そんなどっちかというと固めな雰囲気の会社だったので、面接の時点で落とされるのだろなと思っていたんですけどね。だから、やるだけやろうって気持ちでした。
ここに面接に呼んでくれただけでも儲けもん。会ってくれるだけで儲けもん。
もう怖いものなんて何もない!そんな気持ちで面接に行きました。

僕がその日の面接の最後の学生だったみたいで、一人待合室で何分か待ちました。
その間に面接官の人が僕の普通とは違う「備考」付きの履歴書に目を通しているのを僕は感じ取っていました。

どういう風に思っているのだろうか。やっぱりそんな人間の面接なんてやりたくないのかな。
はずれくじでも引いた気分にさせてしまっているのかも。
呼ばれるまでの間、考えても仕方ないことを色々考えていました。

そして、僕は呼ばれました。
その日の面接は一次ということもあって若手の社員さんによる面接でした。
面接官の人は沖縄チックな顔立ちの、良い人そうな印象。僕は不思議と緊張していませんでした。

最初、その人は僕の目をあまり見てくれませんでした。
面接的な質問、志望動機とか自分の長所とかを聞かれて、それに答えている間その人はちょっと目をあわせてもすぐにそらしてしまうみたいな感じでした。

僕は、この人が初めて見る『女だけど男みたいな僕』をまだ受け入れられないのかなって思いながら話していました。
でも、その日は本当に不思議と緊張していなかったので、僕は話しに詰まることもなく自分の言いたいことをどんどん話していました。

気が付いたらその人は僕の目をずっと見てくれるようになっていました。
僕はその人のまっすぐ見つめるまなざしを心地よく感じながら、ITの業界についての問題や仕事内容についての簡単な質問、社長の人柄など、その人に向かって色々と質問をしました。

話をしながら僕と面接官の人は笑っていました。もう面接というより雑談という感じになっていました。 

「お酒飲みすぎて新入社員のときに10キロ太ってね」
「そーなんですか?!大変ですね」

そんな会話がずっと続いていました。
30分くらいの面接が、気が付けば1時間にもなろうとしていました。

「あ、いけない。もうこんな時間だね」
面接会場として設けられた大きな会議室に僕とその人、たった2人しかいない。
僕と面接官の人は周りを見渡して一緒に笑いました。 

僕は、こんな楽しい面接は初めてでした。
そして、これで終わりにしようかっと帰る準備をしていたときに、その人は僕に向かって言いました。

「君と一緒に仕事がしたいよ、一緒に営業やってみたい」

僕はただ笑うしか出来ませんでしたが、とても嬉しく思いました。
僕にとってそれはどんな褒め言葉より嬉しい言葉だったのかもしれません。

 「こんなこと言っちゃまずいかもしれないけど、次の面接はもっと上司の人だから」
その人は笑って僕に言いました。

 「ありがとうございます!」

この言葉以外にこの気持ちを代弁する言葉はきっとないでしょう。
僕はもしかしたらただの社交辞令かもしれないその言葉を、大切に受け取りました。

その人が持っている僕の履歴書には他の人とは違って手書きで付け加えた「備考」がある。
それをその人は読んでいる。

それでも僕はこの人に認めてもらったんだ!!
嬉しくて、嬉しくて、もし、例えこの面接が落ちてしまっても、この言葉を宝にこれからも頑張ろうと決意しました。

一週間後、僕はこの人とやった面接を無事通過し、二次選考に呼ばれました。

一次より、二次の方が年上の人だし、年上の人のほうがどちらかというと例外を好まないと思うから、難易度で言ったらぐっと難しくなるだろう。
でも一次で僕を認めてくれた人が何年か後に二次面接の面接官になっているかもしれない。
そしたら僕みたいな子と再び出会ったとき、僕を思い出してくれたら、ただ書類だけで判断せず、ちゃんと会ってくれるに違いない。そして、人間としてちゃんと見てくれるに違いない。
だから僕のしたことは続いていく。僕のしたことはこれから続いてく。

僕は例え二次選考が難しくて認めてもらえなくて、悲しい結果しか待っていなかったとしても諦めない、逃げない。二次選考の人に良い印象を残せれば儲けもん。会って話せるだけで、本当に儲けもん、後は自分次第。
そして頑張れば、この先に続いていける。だから僕は、諦めないぞ!

 

※後日談
この企業の選考は次の役員面接で落ちてしまいました。しかし、いい出逢いがあったことは感謝しています。