それから

初のネクタイデビューをしてから一旦就職活動は中止にして、資格の勉強をしました。
なぜ資格の勉強をしたのかというと、もし就職先が見つからなかったら、その資格を持っていれば独立できるって信じていましたし、法律を勉強して僕みたいな法的に主流じゃない?立場にいるような人達の、法を上手く活用することで力になれたら、って思ったからでした。
猛勉強をして、試験を終え(結果はダメでしたが)、再び就職活動を本腰入れて始めることになったのは11月に入ってからでした。

二度目の合同企業説明会にはメンズスーツにネクタイなしで行きました。
ネクタイをしなかったのは、色々なパターンを試してみようと思ったからです。
一回きりの就職活動ですから、後々やり残したことのないように、周りの反応とか様子見したかったんです。
周りにはどう思われたのでしょう。
メンズスーツなのはバレバレで、でもネクタイしてないって怪しいだろうな。

会場で「どう思われているのかな」ばかり気にして
「やっぱ変なやつだって思われてる?」
「あっあの人いったん見て俺のこと無視した・・やっぱ俺じゃダメなのかも」
そんなことを頭の中で何度も何度も思いました。
他の子がとても大きく見えて。逆にどんどん自分は小さくなって。

それでもちゃんとブースに行かないと!って逃げそうな自分を奮い立たせて、その日は3ブース回りました。
人事の人の態度は別にどうも変化ありませんでした。(僕の感じた限りですが)
ただ帰るときに、名前を書いたシートを渡すのですが、そのときはすごく緊張しました。
だって「自分は女です」って書いてあるようなものだったから。

自分自身としては男として人事の人に見られていて欲しくて、けど名前見たらどんな反応するか不安で。
逆に何の反応もなかったら、女として見られてたのかなって、それはそれでがっかりで。
とにかく、帰るときだけはすっごくドギマギして、その日、緊張疲れで帰りの電車の中では抜け殻みたいになっていました。

それから就職サイトに登録して、とにかく色んな企業にエントリーしました。
エントリーの登録内容は?はい、女にしておきました、一応。名前も本名です。
そうしたのは、だってそれも事実だから。

企業への登録は、法的にどうかは分かりませんが、ちゃんと正式な内容じゃないといけないとも思いましたし。
どんなにイラだっても、その名前が戸籍に載っている正式な名前で、性別もそっちで登録されているわけで、大学での書類にも、女で行っているわけで、自分で考えた通称名も、生きたい性別もまだ、書類上では存在していないわけで。
だから、「事実」を登録しています。

それに、今こうだとしても、その後いくらでも言うチャンスはあると思いましたから。
面接のときとか、履歴書のときとか、その時に言う方法で行こうと思っているんです。
ちょっとずるいかなって思うんですけどね。
企業の人には、「女」だと思って呼んだら「男」で働きたい奴がやって来たって何か迷惑かなって、でもそんなことまで考えたらキリがないんですけどね。

-続く