それいけ!ドンくん

はじめの一歩

学校で少しずつカミングアウトをしながら、男として、自分の気持ちに正直に生活し始めた大学3年目、やっぱり気になるのはこれからの就職活動。

これだけ学校で自分らしく楽しく生活できていてもそれは学校内だけのこと、社会に出たら結局また女を演じなければいけないんだ、僕は最初諦めてました。
どーせ、分かってくれない。こんな人間雇ってくれるわけない。
一度も挑戦したことはないけど、そんなことやらなくても分かるよと思っていました。
周りの人にも自分に言い聞かせるようにそう伝えていました。

しかし、自分の気持ちに気付いてしまった心はどこか諦めきれずにいました。
確かに社会は甘くはない、失敗したら後戻りできない・・・。
けど、けど、女の子のスーツを着て働く自分を全く想像することなんて出来ませんでした。

そんなモヤモヤした気持ちを抱えていたある日、合同説明会が都内で開催されることを知りました。
幸か不幸か僕は男のスーツも女のスーツも両方持っていました。
僕は悩みました。どっちのスーツを着たら良いのだろう?

頭では無難に女のスーツを着たら、とは思うのですがどうしても着たくなかった。
心は男のスーツを選んでいたんです、けど踏み出す勇気がなかなかなかったんです。
僕はずっと悩みました。そして僕は就活の先輩として、わらをも掴む思いでGIDmediaのニノ宮さんに連絡しました。

ニノ宮さんとはGIDmediaの交流会で1度お会いしていたものの、それまでほとんど連絡したことはありませんでしたが、そんな僕の話をニノ宮さんは聞いてくれました。
僕はその時泣きました・・・苦しかった、けど心には諦めてない自分がいることを話しながら発見しました。

結局、その合同説明会に僕は男のスーツに黒のネクタイを締めて行きました。
会場で配られる資料には一発で女と分かる本名を書いて。
最初に入ったブースでは、僕は記憶がなくなるくらい緊張したのを覚えています。
人事の人が名前と僕の姿を交互に見ながら焦っているのを感じとってビビりまくりました。
顔では精一杯笑顔を作っていましたが、内心では何故か謝り続ける自分がいました。ややこしくてごめんなさい!!

その日、何度も逃げたくなりました。
だけどもらった企業へのシートがちょうど5枚あったので、このシートがなくなるまで帰らない、と自分に言い聞かせて僕は5社回りました。
無反応の会社の方が多かった。それがその日の感想でした。
門前払いをされたり、軽蔑した目で見られなかったことに正直僕は驚きました。

-続く

それから

初のネクタイデビューをしてから一旦就職活動は中止にして、資格の勉強をしました。
なぜ資格の勉強をしたのかというと、もし就職先が見つからなかったら、その資格を持っていれば独立できるって信じていましたし、法律を勉強して僕みたいな法的に主流じゃない?立場にいるような人達の、法を上手く活用することで力になれたら、って思ったからでした。
猛勉強をして、試験を終え(結果はダメでしたが)、再び就職活動を本腰入れて始めることになったのは11月に入ってからでした。

二度目の合同企業説明会にはメンズスーツにネクタイなしで行きました。
ネクタイをしなかったのは、色々なパターンを試してみようと思ったからです。
一回きりの就職活動ですから、後々やり残したことのないように、周りの反応とか様子見したかったんです。
周りにはどう思われたのでしょう。
メンズスーツなのはバレバレで、でもネクタイしてないって怪しいだろうな。

会場で「どう思われているのかな」ばかり気にして
「やっぱ変なやつだって思われてる?」
「あっあの人いったん見て俺のこと無視した・・やっぱ俺じゃダメなのかも」
そんなことを頭の中で何度も何度も思いました。
他の子がとても大きく見えて。逆にどんどん自分は小さくなって。

それでもちゃんとブースに行かないと!って逃げそうな自分を奮い立たせて、その日は3ブース回りました。
人事の人の態度は別にどうも変化ありませんでした。(僕の感じた限りですが)
ただ帰るときに、名前を書いたシートを渡すのですが、そのときはすごく緊張しました。
だって「自分は女です」って書いてあるようなものだったから。

自分自身としては男として人事の人に見られていて欲しくて、けど名前見たらどんな反応するか不安で。
逆に何の反応もなかったら、女として見られてたのかなって、それはそれでがっかりで。
とにかく、帰るときだけはすっごくドギマギして、その日、緊張疲れで帰りの電車の中では抜け殻みたいになっていました。

それから就職サイトに登録して、とにかく色んな企業にエントリーしました。
エントリーの登録内容は?はい、女にしておきました、一応。名前も本名です。
そうしたのは、だってそれも事実だから。

企業への登録は、法的にどうかは分かりませんが、ちゃんと正式な内容じゃないといけないとも思いましたし。
どんなにイラだっても、その名前が戸籍に載っている正式な名前で、性別もそっちで登録されているわけで、大学での書類にも、女で行っているわけで、自分で考えた通称名も、生きたい性別もまだ、書類上では存在していないわけで。
だから、「事実」を登録しています。

それに、今こうだとしても、その後いくらでも言うチャンスはあると思いましたから。
面接のときとか、履歴書のときとか、その時に言う方法で行こうと思っているんです。
ちょっとずるいかなって思うんですけどね。
企業の人には、「女」だと思って呼んだら「男」で働きたい奴がやって来たって何か迷惑かなって、でもそんなことまで考えたらキリがないんですけどね。

-続く

初セミナー

初めてのセミナーに参加することになりました!それもどちらかというと大手の!!

しかし!実は僕はホント方向音痴で・・・
都内のセミナーに参加してるんですが、「会場のビルなんて駅の出口から出た所のでっかいビルだからすぐ見つかるでしょ」って思っていたら、四方八方でっかいビル・・・迷いに迷って開始5分前!!

工事のおじちゃんに聞いて時間ぴったりに会場に到着するという痛い洗礼を受けたのでした。
男とか女とかの前にちゃんと時間を守らなきゃいけないのは当たり前ですからね。
でもおかげで緊張はしないで済みました。

その日の服装は、メンズスーツに水色ネクタイでした。
同じテーブルの席には男が3人、女が2人いました。
まわりはどうやら僕を男と思ってくれている、、、っぽい!!

それってすごく嬉しいんです。
けど、すごく怖くもあります。なぜなら、ばれるからです。

僕は、外見はどっちかっていうと男っぽいので、喋らなければ大体は男で通せます。
けど、やっぱり声は高い。声で何度もばれました。
友達も声で「女の子かな?」って思うんだって言ってましたから。

せっかくみんな男として僕を見てくれているのに、ばれる!ばれる!どうしよう・・・。

こういうとき、僕は結構頭真っ白になります。
けど、グループワークですからみんなで話さないといけない。
意識して低めに話し始めたつもりです。
きっととても愚かでしょうけど、そんなことで体力のほとんどを使っていました。
いつもこんな感じです。

気にしても仕方ない、そんな小さなことよりも、もっとやることがあるじゃないか!!
と、頭では分かってはいるけど、やっぱりどこかで気にしてしまうんですね。

さて、本日のセミナーはグループワークをするもので、僕のグループは結構頭のいい子?が多かったらしく、グループデスカッションの時間は男が議論をバンバンしていました。
僕もそういう時は率先して参加する方なんで、後半くらいから声を低くするのも疎かに色々議論に参加しました。

その時、正面に座っていた女の子があんまり話さないので僕がふとその子に話題を振ってみたんです。
そしたらその子、ものすごく緊張してたんです。
目が真っ赤になっていて、僕はそんな彼女の表情をみたときに、頑張っているのは僕だけじゃないんだなって、僕も就職不安で、怖くて、逃げたくて、でもやらなきゃ、って思ってここにいるけど、この子もきっと不安で、怖いって思ったりするだろうし、それでも頑張ってここにいるんだなって思ったら、「よし!僕だけじゃない!頑張ろう」って思えました。そんなセミナーでした。

-続く


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