講演会@文教大学

文教大学大学院に於いて、園田、二ノ宮、小野の3名が講演をしてきました。

聴きに来て下さったのは、大学院人間科学研究科臨床心理学専攻、
人間科学専攻、大学の人間科学部4年生など10名の学生の方でした。

これまでにGID当事者に会ったことがあるという人も3名ほどいましたが、
多くは初めて当事者に会うという方で、GIDについてもあまり知らない人がほとんどでした。

そのような方たちに、まず初めにGIDについて簡単にレクチャーをしました。

それから1番手の園田がGIDFTMに多い例として、親から聞いた物心つく前の話から自分の性別に対する違和感に気づくまで、
そしてGIDという言葉を知るまでの過程、学校生活、両親へのカミングアウトなどについてお話しました。

中でも「両親へのカミングアウト」についての時が一番集中して聞かれていたように感じました。

もっとも身近な人へのカミングアウトというのは、した方にもされた方にも負担が大きいです。

それらのことを感じ取ってくれたからこそ、すべての方が真剣なまなざしを向けてくれたように思います。

次に小野が「GIDに偏見を持っていたGID当事者」というテーマで話しました。
「性同一性障害って、男になりたい女のことだろ?」

非当事者の方に少なくない誤解だと思うのですが、当事者の小野もGIDを誤解していました。

GIDは、「男になりたい女」や「女になりたい男」のことを指すのではなく、精神的性別と身体的性別が一致しない状態を指すのです。

さらに、身体への違和感を持っていることが診断の条件となりますので、選んでなるものではないのです。

自分の精神的性別とは別に、GIDであることを受け入れていく過程について、その心の変化を話しました。

最後に二ノ宮が、治療という選択をせずに、精神的性別で生きる当事者の話をしました。

現在二ノ宮は、治療なしで男性として働いており、パス度もとても高い状態です。

GID=ホルモン投与や手術をする人、というイメージを持つ人は少なくないと思うのですが、
身体への違和感は医療だけが解決方法というわけではないのです。

今はインターネットで情報を得やすくなり、GIDという言葉を知ると同時に治療を始めることも出来ます。

けれど、ホルモン剤は魔法の薬ではないのです。
それですべてが解決する、というのはまったくの誤解です。

また、GIDなら治療を望むのが当然という考え方も誤解だと思います。
様々な理由から、治療を選択できない人もいます。

そのようなある種GID当事者のレアケースについて、お話しました。

90分の講演の中で、10分間のレクチャーを含むそれぞれ異なるGID当事者3名の話を聴いた学生さんたちは、終了後、かなりぐったりしていました。

ちょっと内容が濃すぎたかなぁなんて思ったのですが、感想アンケートに以下のような回答をいただきました。

・私自身女性であることは当たり前すぎて何の疑問も持たずにきたが、
この”当たり前”のことに違和感や嫌悪感を持つことがどれだけ苦しいのだろうと、 
計り知れない苦しさ、つらさが伝わってきました。

でも皆さんに共通して受けた印象は、「明るい」ということ!

不謹慎と思われてしまうかもしれないのですが、自分らしい生き方が見つかったと言うか、とにかく輝いて見えました!

・GID当事者と会ったことがなく、分からない部分が多かったのですが、今日の講演により少し理解できた気がします。

・自分の見方は一面的なものであったと気づかされた。

・頭では理解できたと思うが、実感としてはまだ感じられなかった。

また、もし友人にGIDをカミングアウトされたら?という問いには、

・きれい事のように聴こえるかもしれませんが、性別なんてその人の一因子、一部分に過ぎないと思うので関係ないと思う。

・予期していなければ驚くと思いますが、仲のよい友人であれば、理解し共感することが時間を置けば出来ると思います。

 ただ、相手が気まずそうにしていればこちらもそうなる可能性はありますが、
相手があっけらかんとしていればこちらも気にしない。

・驚く面と、納得する(しっくりくる)面があると思う。今までと変わらず付き合っていきたい。

・びっくりするかもしれないけど、だからといってそれ以上に何かを思うとは思わない。

家族・親戚にGIDをカミングアウトされたら?という問いには、

・受け入れたいと思うけど、友人にカミングアウトされるよりショックが大きいと思う。周囲の目を気にしてしまうかもしれない。

・具体的に何か社会に働きかけようとする余裕はないと思うが、話を聞いてあげたい。

・その人が今後体験するだろう苦労を考えると複雑だけど、受け入れると思う。

・家族だったらすごくびっくりすると思う。自分で整理する時間が欲しいというかもしれない。

今回の講演は、心理学を専攻し、カウンセラーなどの職業を目指す学生の方が対象だったので、クライエントにGID当事者が来たらどう対応しますか?と聞きました。

・自分が理解できていないことを安易に解釈することは避け、あくまでも本人の言葉から理解しようと務める。実際は難しいでしょうが……。

・その人が言いたいこと、伝えたいことを聞こうとするけど、無理やり話してもらおうとはしないと思う。

 医者ではないので何かを施すことは出来ないが、情報を提供することは出来るのでしたいと思う。

・今回の出会いを生かして、「同じように悩んでいる人と会ったことがあるよ」と言ってあげる。

といった回答をいただきました。

会議室ほどの会場で、3名全員が初めて人前で自分について話したわけですが、
心理を勉強する学生さんということもあり、

非常に好意的な雰囲気の中で講演をさせていただいたと思います。

感想アンケートでは、非常に丁寧な回答を頂いたのですが、出来れば講演の後に、
ざっくばらんに皆さんの意見をうかがってみたかったと思いました。

講演者と参加者、当事者と非当事者、改まったスタイルではどうしても両者の間に溝が出来てしまいます。

特に、我々のような不慣れな講演者の場合はそうなってしまうのでしょう。

しかし実際は、ひとりひとりが将来や自分について悩みや葛藤を抱える同じ20代の人間なんです。

もし第2回があれば、「特別な人たち」ではなく「自分たちと同じなんだなぁ」と感じてもらえるようなお話もしたいなぁと思いました。

今回に限らずですが、「FTMだけでなく、MTFの方のお話も聞いてみたい」という意見も頂きました。

GIDmediaはMTFの方で一緒に活動していただける方を切実に求めています。

実際に講演に行くという形以外でも、「当事者の声」を伝えたいと思う方がいたら、是非ご協力お願いします。

文責 渡邉 圭