講演会@埼玉大学

講演会 (2007.06.29)

埼玉大学にて、講演会を行いました。

今回は授業の一環としての講演でした。
授業内での講演は初めてです。
これは、埼玉大学に通う西野くんとの繋がりで実現しました。
ありがとうございます。

授業には、60名ほどの学生さんが出席。
聴講生の多くは教員を目指していたり、
『さわやか相談室』の職員を目指していたり、と
まさに私たちが、GIDについて知っておいてもらいたいと思っている方々でした。
そして、その中には、高校の先生を始めとする現職教員の方が4名もいらっしゃいました。
まさかこんなところで現役の先生に聴いていただけることになるとは
思ってもいなかったので、とても嬉しかったです。

まず始めに、西野くんが性同一性障害の概要や、
なぜこの授業の1枠を使いこのような講演をしようと思ったのか等を説明。

そして、彼自身がFTMなので、今までの体験談を語りました。
西野くんは、現在はどう見ても男性にしか見えないのですが、
本当にごく最近まで、自分を押し殺して女性として生活していたそうです。
その体験談は本当にリアルで、同じ当事者である僕からしても
とても重みのある話でした。
当事者ではない人たちにとっては、
きっと初めて聞く話だろうし、衝撃的だったかも知れません。

「1年前までは女性として過ごしていました」と言われても
今の彼の姿からは想像できないだろうし、

「高校生の時は、クラスのどの女の子よりも女らしかったと思う。
“普通であること”が何よりも大事だったから、
女でいなければならない、と必死に女を演じていた。
誰一人として、僕が女であることを疑う人はいなかったと思う。」
という彼の話に、皆さんは一体何を感じたのでしょうか。

普段の講演会では、二ノ宮か僕が体験談を語っていたのですが
2人共、自由気ままにやってきたタイプなので
自分の男っぽさを無理に隠そうとはしなかったし、
それなりの努力はしていたとは言え、
極限まで女を演じるということはしてこなかったので
今回の西野くんの講演は、とても新鮮に感じました。

それと同時に、彼と似たような思いで学生時代を過ごしている当事者が
たくさんいるのかも知れない、と強く感じました。

西野くんの講演後、今度はMTFの立場から
GIDmediaスタッフの田中が体験談をメインに話しました。
田中はGIDmedia参加前から講演経験が数回あったそうですが、
GIDmediaスタッフとしては今回がデビュー講演でした。

前回までは、FTMの講演のみだったので、
「逆の人の話も聴いてみたかった」という声を頂くことも結構ありました。
FTMの話だけだと、性同一性障害として語るには偏りすぎていたので、
今回、田中が加わったことで、ようやくバランスが取れて来たかなと思います。
今後の活躍を期待します!

その後、二ノ宮が性同一性障害の「障害」について皆さんと考えたり、
実際に当事者の生徒と出会った時に、どのような対応をしたらいいのか、
という話をしました。

最近は、性同一性障害という言葉だけが先走りしてしまっているような気もします。
生徒が性同一性障害を打ち明けた時、
「そうか!それじゃあ、今すぐ男子の制服着なきゃな。更衣室はこうして、トイレはこうして…」
と先生や周りの大人がやってあげてしまっては
本人のためになりません。

私たちは、先生方にそのような対応を求めるつもりはなく、
まずは生徒自身がしっかりと考えるための時間を作ってあげてほしいと思います。
環境を変えたいと望むのであれば、『そのためにはどうすればいいだろう?』と
一緒に考え、ゆっくりサポートしていってもらいたいです。

講演終了後、フリートークをしました。
現役の高校の先生ともお話しました。
研修として大学での勉強を希望する先生方だけあって、熱いですね!
とても熱心です。

「現役の教員を対象にこういう講演をどんどんやった方がいいよ」と
嬉しいお言葉をいただきました。
性同一性障害についての知識がある教員はほとんどいないし
勉強する機会もなかなかない、とおっしゃっていました。

本などを読んで知識を得ることは出来たとしても、
やはり実際に当事者と会って話しをすることに比べたら
全然リアリティがないでしょうから
私たちのような当事者が活動していくことは本当に大切なことなんだなぁと
つくづく感じました。
(このやりがいのある講演活動に興味のある当事者を募集しています!)

いつも講演をやる度に「ありがとう」という言葉をたくさんいただきます。
「今日のこの1時間で、今後の生き方が変わりそうです」
そこまで言ってくださった方もいました。
本当に嬉しい。感謝の気持ちでいっぱいです。

みんなの気持ちが少しでも良い方向に変わっていくのなら
私たちはこの活動を続けていきたいと思います。
1人1人のそのちょっとした変化がたくさん集まっていくことで
社会は当事者にとって、より暮らしやすいものになっていくでしょう。

今後は、『将来の教職員やカウンセラー』を対象とした講演会に加え、
現役教職員の方を対象とした講演会の機会も増えてくるといいなと思います。

参加者の声

文責 園田