Living Library 感想 – Blue Birds

渡邉、二ノ宮が参加した『リビングライブラリー』。
これを主催したBlue Birdsのメンバーにコメントをもらいました。

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 今回、リビングライブラリーの企画代表をさせていただきました、村井七緒子と申します。何よりもまず、GIDmediaの皆さんに今回の取り組みに対して全面的な協力をしていただいたことを、心より感謝しています。本当にありがとうございました。

 リビングライブラリーは、生きた人間が「本」になる、というユニークなコンセプトに基づいていますが、簡単に言ってしまえば、初対面の人間同士の対話に過ぎません。それでも、私たちがこのリビングライブラリーに惚れ込み、日本で実現させようと強く思ったのは、これまでのさまざまな人との出会いの中で、
「人と話すこと」のもつ魅力を、私たち自身が身をもって感じていたからです。「人と会って話すことはこんなにも面白いことなのだから、もっともっとたくさ
んの人が混ざり合って対話することで、もっともっと面白い社会になるんじゃないか!」そんな思いから、リビングライブラリーの準備を始めました。社会的マ
イノリティと呼ばれる人々をはじめとする、他者への無関心が、差別や偏見といったさまざまな問題に結びついている、という問題意識もあったので、対話がその解決の糸口になるのではないかという思いもありました。

 そうはいっても、これは私たちの経験に基づく憶測でしかありませんでした。しかし、それが間違いではなかったということが、今回、証明されたと思いま
す。対話中、読者となった生徒たちも「本」の皆さんも、本当に生き生きとしていました。生徒の中には身を乗り出して「本」の話を聞いている子もいたし、
「本」を見つめる目が真剣そのものという子もいました。終了後のアンケート記述では、多くの生徒が最後まで残って必死で感想を書いてくれました。「本」の
皆さんも、それぞれがそれぞれのストーリーを、とても楽しそうに生徒たちに話してくださいました。終了後の簡単な反省会での「本」の皆さんのお言葉は、胸
に響くものばかりでした。皆さんお一人お一人に、この企画に加わったことでさまざまなことを感じて考えていただけたことを、とてもうれしく思います。

 私たちのリビングライブラリーの目的は、「多様性のある社会の実現」にありました。他者を知ることで自分自身を見つめ直し、相手のことも自分のことも認
めることができたら、さまざまな特徴をもった人が互いに自分らしく共存する社会が築けるのではないかと思います。そして私自身、このリビングライブラリー
の準備の過程が、まさにリビングライブラリーでした。さまざまなセクシュアルマイノリティの方にお会いして、皆さんから生き生きとしたお話を伺うことで、
多くの発見があり、何度も元気づけられ、そして楽しい時間を共有させてもらいました。そして、この企画の説明をして、「本」の皆さんに目的や理念に共感
し、協力を約束していただくたびに、どれほど皆さんに励まされ、自信をつけることができたか知れません。

リビングライブラリーの初めての試みを終え、課題や問題点も見えてきました。対話を深める質問をいかに引き出すか、対話の内容をどこまで管理すべきか、などがその一部です。それでも、リビングライブラリーのニーズと、それを受け入れる素地が、日本社会には確かにあるということを確認することができました。これから、この運動がますます広がっていくことを願ってやみませんし、そのために尽力することができたら、それは私にとってこの上ない喜びです。

 私たちのリビングライブラリーを共に作り上げてくださり、そして、このような場を設けていただき、本当にありがとうございました。

村井七緒子


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私たちBlue
Birdsは「想像すること」を重要なポイントにして活動してきました。企画の1回目はイラク戦争のドキュメンタリー映画上映、2回目はイラク・ニュー
ヨーク・アフガニスタンの子どもたちの絵画展、そして3回目が今回のLiving Libraryです。Living
Libraryとはすでにご紹介があったように、普段なかなか会うことがなく、偏見を持たれてしまう傾向にある人間を「本」として貸し出し、「本」と「読
者」の対話によって相互理解を深めようというものです。

 1、2回目は戦争や紛争に関わる企画だったので、3回目のLiving
Libraryは毛色が違うと感じられるかもしれません。しかし、どの企画も「我々」対「他者」意識の構造、「他者」への想像力の欠如から生じることを
扱っている点は共通しています。例えば、平和と言われる日本で暮らす私たちは戦地で生きる人たちを「他者」とみなしてしまいがちです。でも、彼らにも私た
ちと同じような日常の生活があり、愛する家族がいて、平和に暮らしていきたいと思いながら生きていることを少しでも想像できれば、戦争に無関心ではいられなくなると思います。

同じように、「知らない」「想像できない」がゆえに偏見を持たれてしまう「本」と直接話すことで、相手にも
自分と同じような部分があることを知り、泣いたり笑ったりしながら生きている、そんな「本」の背景を想像できれば、差別や偏見は少なくなるのではないか、
という思いで企画に取り組んできました。

 少し堅苦しく書きましたが、純粋に「文献やテレビより、直接人と会って話す方が何倍も得られるものがあるし、なにより楽しい!」という思いもありました。

 
Living
Libraryは2008年の10月から準備を始めました。NHK教育の「ハートをつなごう」を見たことや、読者である高校生がLGBTについての学習を
していたこともあり、テーマをLGBTに設定しました。私自身、以前からセクシュアルマイノリティに関心があり、テレビや本を読んだりしていました。今回
直接「本」の方とお話しすることで、さらに多くの学びがあり、なによりとても刺激的でロールモデルとなる方々と出会うことができました。本番までの約4ヵ
月間で24人の「本」の方に集まって頂き、読者は40数名、当日のボランティアスタッフは7名、そのほか企画にご協力頂いた方を含めると70名以上の方に関わって頂きました。本当にありがとうございました。

 Living Libraryは対話して終わるのでははく、対話から始まるのだと思っています。関わって下さった方々や私たちBlue Birdsの中に蒔かれた種が今後どう成長していくか楽しみです。

 松枝 望

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 まず、率直に思ったことは、「やって良かった」ということです。

 
このLiving
Libraryの準備を進めている間、私は正直、不安も抱えていました。自己満足ではなく関わってくれる人たちみんなにとって良いものになっているか、等
々。Living
Libraryは、アイディアはシンプルだけれども、心を持つ「人」を相手にするわけですから、楽しいだけでは済まされません。だけれども、そんな不安
は、企画を進めれば進めるほど、薄められていきました。それは、私たちの企画を後押ししてくれる多くの人との出会いの中で、私自身が「知ること」を通して変わっていったからです。

 例えば、GIDmediaとの初めての対談の時には、「セクシャルマイノリティ」というカテゴリーは関係なく、ただ単にそこには「人対人」の出会いと対話があり、友達と話しているのと変わらない感覚をおぼえました。その後も、その他の「本」の方との対話の中で、気配りできるとよりよいことはあっても、それは「セクシャルマイノリティ」だからとかではなく、~さんは~が気になると言っていたから気をつけよ
う(神宮司さんはトマトが嫌いだから、トマトづくしのサラダは避けてあげよう)ということと同じではないか、と考えるようになりました。

 
きっと一人一人の読者や本の方にも、個々に何か変化があり、その変化というのは、実際に一人の人と直接対話したことによって得られたものであると確信して
います。しかしそれと同時に、今回の企画はLiving
Libraryの力を引き出しきれていないとも思っています。もっとこの活動が広まって、様々な人々が関わることで、引き出されていくことを切に願いま
す。ただし、本来ならば、このような企画は必要ない方が理想です。必要であるということは、身近な場所にて、様々な人たちが交われていないことを指すから
です。そのため、最終的には社会の仕組み自体に還元されていってほしい、そして実際にLiving
Libraryの手法はその可能性を秘めている、私はそう思います。 

神宮司真奈

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私は今回、Living Library(以下、LL)の運営スタッフ4人のうちの1人として携わらせてもらいました。  

私が今回、LLに携わった理由は、何と言っても「多様性のある社会の実現」という理念に共感したから。私はもともと「誰のことも排除したくない・否定したく
ない」となんとなく思っているような人間なので、「みんな違って、みんないい」みたいな考え方はすんなり肌になじみました。特に証拠はないけれど、「世の中いろいろな人がいて成り立っているんだから、一人ひとりが違いを楽しみながら自分らしく生きられたら、そんな社会って善いに決まってる!」という確信が根底にあったんです。だから、「自分の思い描く理想の社会づくりに少しでも関われる企画なら、どんどん足を踏み入れるべきだ!」、と思いLLに携わること
を決意しました。  

 しかし、そこには想像していたよりも大きな葛藤がありました。最大の葛藤は、LLに関わり出してから自分の知識的、精神的成熟度の不足を痛感したこと。今回は「本」となる人をセクシャルマイノリティと限定したのですが、それまで私は全くセクシャルマイノリ
ティについての知識を持っていなかっただけでなく、「マイノリティ」それ自体への問題意識も低かったのです。自分自身も理解度が低い問題なのに、それを他人に提起するような企画をこんな私がやっていいのだろうか、という疑問はなかなか消えることはありませんでした。 

 こんな葛藤を抱えながらも、本番が近付くにつれて自分の中でモチベーションを上げていくことができ、ラストスパートを走り切ることができました。こんな中途半端な私が、最後
まで走り続けられたのは、協力してくれた「本」やボランティアスタッフの皆さま、そして一緒に運営してきたBlue
Birdsのメンバーがいてくれたからでした。本当に感謝しています。

 もちろん、企画運営に関して反省すべき点を挙げだしたらきりがありません。

わってくださった皆様に多大なるご迷惑をおかけしたこともあったかと思います。しかし、学生生活の最後に、自分に負荷をかけてLLに挑戦したことで、少な
からず「マイノリティ」への問題意識は深まり、やはり多様性のある社会の実現はめざすべきものだという思いも強くなりました。そして、協力してくれた「本」やボランティアスタッフの皆様も一緒にLLを楽しんでくれたことが、何よりも大きな喜びでした。  

 LLが日本に広がって、少しずつ日本社会にある「人と人との壁」が低くなっていくことを願い、今後も何かしらの形でLLに関わっていきたいと思います。ありがとうございました。   

山岡玲子

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