Freak Party vol.1 reported by tsubasa

2008/06/08 新宿HEAD POWER 『Freak Party vol.1』

 二ノ宮悠生が店長を務める高田馬場にあるROCK,MUSIC&BAR Freakが主催のイベント『Freak Party』。vol.0が大成功を収めたこのイベント。今回はGIDmediaと合同でのイベントとなった。
 出演は、お店の常連たちで結成された”タケスターズ”、”4KINGS with Shin”、GIDmediaの園田純率いる”ペンギン爆走(ダッシュ)”、二ノ宮悠生率いる”二ノ宮悠生with……”に加え、滋賀を中心に都内でも活動をする”JERRY BEANS”。合計5バンドに加え、GIDmediaのスタッフが運営するブースも設置するなど、さまざまな人たちが楽しめるよう工夫されていた。

GIDmediaのブース
GIDmediaのブース

 17時の開場とともにお客さんが集まり、会場はすでに満杯状態。スクリーンに映像が流され、本日のイベントがスタート。Freakのお客さんたちの写真が次々と流れ、BARの沸きあいあいとしたお店の雰囲気が伝わってくる。そして、GIDmediaの紹介として講演会の様子やGIDmediaメンバーの写真が映し出される。戸籍上の性別から本人たちの望む姿へと変わっていく写真に、客席からは驚きの声が上がっていた。

 タケスターズのインタビュー映像が流れ、GID(性同一性障害)についてギターの竹下はこう語る。「自分のやりたいことだけやってリスクを背負わないでいようなんて虫のいいことだけを考えているようなら何もやらないほうがいい。”自分はやりたいことはやります。でもあなたたちは私のことを嫌わないでね”っていうのはあまりにも虫がいい。嫌われるか嫌われないかは自分が今までどのような生き方をしてきたかに左右される。一度カミングアウトしてみるのも、自分の人間としての価値がはかれるからいいんじゃないですか?」。GIDだけでなく、すべての物事に当てはまるような力強い言葉だ。幕が開くとそこには、メイド服をきたボーカル・みっちゃんの姿。タケスターズは本日のイベントのために結成されたバンドのため、本日が初ライブ。見た目とは異なるハスキー・ボイスでCoccoなどのコピーを披露。演奏面での未熟さは見えるものの会場を盛り上げてくれた。

タケスターズ
タケスターズ

 続いて、ペンギン爆走の映像が流れる。ボーカル・園田純がFtMであることを知ったときの気持ちをベース・きえ、ドラム・ゆうじが語る。2人がすんなりと受け入れていたことが伺えたが、それはタケスターズのギター・竹下が言うように園田の人柄故なのではないかと映像を見ていて強く思った。また、当事者である園田からメッセージがあった。「自分の人生なんで、生きたいように生きてください。将来とかよく考えて、別に”GIDだからこういきなさい”っていう決まりはないんだし、ホントに自分のことと……あと周りの人。一緒に幸せになりたいなと思える人がいるんだったらその人のこともやっぱりよく考えた上で、自分の道を決めて、あとはもう覚悟を決めて、それを貫いて生きてってもらいたいなと思います」。自分の意志を持ち、進んでいるからこそ発せられた言葉だ。ペンギン爆走は、4年ほど前に下北沢などを中心に活動をしていたバンドで、本日のイベントのため再結成された。カミングアウトしたときの気持ちを歌った「らしく」や悩んでいたころの気持ちを歌っている「支え」など、とてもシンプルに正直に歌われていた。また、今回のイベントのためベース・きえが後頭部に「GID」という剃りこみをしているのがとても印象的だった。最後にブルー・ハーツの「人にやさしく」を演奏し、会場中を熱くさせ楽しませてくれた。

ペンギン爆走
ペンギン爆走Vo.純
 

 Freakの常連で、四天王と言われるほどキャラの濃い4人に加え、さらにキャラの濃いしんを加えた4KINGS with Shin。映像では、リハ風景を撮影。なぜかSMAPの曲を踊り、笑いはばっちりだったが本番では残念ながら披露されることはなかった。当事者へのメッセージとして、ボーカル・一平は言う。「カミングアウトしろとは言わないし、自分の好きなように生きればいいんじゃない。 ただ、隠しているんだったら隠している分しか友達にはなれない。それを越えてこそ本当の友達じゃない? 自分で考えて、変わりたいと思っているんだったら、信じるままに自分の方法でやればいい」。それに対し、会場でうなずく人たちが多くいたように思えた。幕があがると映像のちょっとおちゃらけた感じとは違い、激しいロックが流れ始めhideの「DOUBT」などが演奏される。前回のFreak Partyにも出演していた彼らだが、実際は活動をしていないバンドである。そうとは思えないほど、完成度の高い演奏に驚かされた。

4KINGS with Shin
4KINGS with Shin

 さて、次はお待ちかね二ノ宮悠生。映像では、二ノ宮悠生が勤めるBAR Freakのオーナー・村木が当事者に向けてこう語る。「ぜひ彼が店長をしているFreakっていうお店に遊びに来ていただきたいな。なぜかというとね、正直言って、あなたたちが考えているよりも、男と女の壁っていうのは高い。その壁の高さっていうのは彼がFreakですごしてきたこの2年間でわかっているんで、それを彼を通して知っていくってことは、君が探しているところにたどりつくのには早道なんだと思う。何よりも外に出るってこと大切なこと」。彼の語るように、Freakが当事者たちの第一歩になってくれればと願う。カミングアウトをしてもしなくても、あなたをありのまま受け入れてくれるそんなBARだと思う。「自分が声を出すこと、声変わりをしていないことが、唯一のコンプレックスだった」と語る二ノ宮は、友人の「お前の声大事にしろよ」「そんなことに逃げんなよ」という言葉に歌うことから逃げ出さずCDデビューまで至った。映像は二ノ宮の幼少期から現在の写真で終わり、プロとして栄えある経歴を持つギター・村木、ギター・渡辺に加え、Freak常連であるベース・ろんのセッションがスタート。その演奏のテクニックに酔いしれたころ、ついに二ノ宮悠生の登場だ。松田聖子の「SWEET MEMORIES」でコンプレックスだった高い声を出す彼に会場は暖かい野次を飛ばす。お客さんたちとの信頼関係があるからこそのステージだと実感した。そして、デビューCDのカップリング・ソング「夏の終わりに魔法は解けた」を歌い、なぜかTUBEのメドレーに。ROCK BARの店長でありながら、堂々と好きな音楽はTUBEであると公言してきた彼ならではのメドレーだ。最後は、GIDmediaの応援ソングになっている「いまだから言えるコト」。自分のデビュー曲にも関わらず、未熟な歌声ではあったが、何か伝わるものがあったはずだ。出来ないと諦めるよりも先に、行動をすることが大事なのではないか。そう思わせてくれるステージだった。

二ノ宮悠生with...... 
二ノ宮悠生with……

 ラストを飾ったのは、滋賀を拠点とし東京でも活躍するJERRY BEANS。中学生時代メンバー4人が不登校を経験し、音楽という道を見つけ一人でも多くの人に伝わればとメッセージ性の強い楽曲を演奏する彼ら。自分たちが悩んでいたからこそ、悩んでいる人たちに伝えられることがある。彼らは言う。「人生において、正しいも間違いもない。ただ自分らしく生きる事、向き合う事、悩みながら行き続ける事。僕らはそれが答えであり、それが強さなのだと思います。”一歩足を踏み出したら  きっと景色も変わるはず”『いまだから言えるコト』の歌詞にもあるように、まずは一歩、自分を愛することから初めて欲しい」。演奏が始まると、不登校だったことが信じられないほど堂々としたステージを見せつけてくれた。彼らのベスト・ソングとも言うべき「カウントダウン」では、輝くような笑顔で会場中も楽しくなる。覚えやすいメロディと胸にぐっとくるような歌詞が多く、初めて見る人でも充分に楽しめた。そして以前、プロデューサーとして彼らと関わっていた村木がステージに登場し、「ガラスの明日」を演奏。さらに、二ノ宮、園田、一平と各バンドのボーカリストが集まり、「いまだから言えるコト」の原曲である「JERRY BEANS」を演奏し、全ステージが終了した。

JERRY BEANS
JERRY BEANS

 Freakに来たことがない人、GIDについてよく知らない人、Freakのお客さん、GID当事者など、すべての観客を孤立させることなく楽しませてくれた。また、GIDだけではなく”自分”という存在について考えさせられた。しかし堅苦しさはなく、とても楽しいイベントだった。(金子 翼)

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